猫の問題行動

                                                    <h2>はじめに</h2>

ドイツで多い猫の問題行動としてこれらのような行動が挙げられます。

1位 不適切な排泄行動 トイレ以外の場所での排泄行為や尿スプレーとも呼ばれるマーキング行為。

2位 攻撃行動 他の猫や人間に対して攻撃的(威嚇、引っかく、咬むなど)。

3位 不安行動 他の猫、人間、特定の物や音に怯える。

4位 その他の問題行動 過度の狩猟行動、要求行動、食事に関した問題行動など。

 

対処法の基本・猫の場合

猫は規則正しい生活を愛し、環境の変化を嫌います。大きな環境の変化(引越し、赤ちゃんの誕生、新しい猫など)だけでなく、些細な環境の変化(例えば、飼い主の出勤時間、帰宅時間の変化、飼い主自身のストレス)にも猫は敏感です。まず、猫が安心して住める環境を整えることが大切です。不十分な飼育環境や、他の猫との険悪な関係などストレスが問題行動の原因になっていることが多く、特に室内で猫を飼育する場合などは飼育環境を豊かにする必要があります。窓などから外の様子を観察できる場所、それぞれの猫が安心して隠れることができる場所があることが大事です。猫が喜ぶのは、自分は視野が見通せるが誰にも邪魔されず安全でいれる場所。お金をかけなくても、ダンボールの箱を使用したり本棚の上の方の本を少し出して段差を利用したり、広さよりも縦の空間を十分に利用して猫の居場所を工夫してつくってみましょう。そして、猫がエネルギーを発散し満足できるようにいろいろな遊びを取り入れ猫と遊んでやりましょう。そうすることが問題行動を防ぐことにつながります。

不適切な排泄行動

1位    不適切な排泄行動

これは雄猫によくみられますが、雌猫にもある行動です。飼っている猫の数が多いほどこの問題行動は増える傾向にあります。最初にまず、それが尿スプレーとも呼ばれるマーキング行為か、トイレ以外の場所での排泄行為であるか、猫を多頭飼いしている場合は、どの猫がしているのかを判別することが大事です。そして、猫がマーキング行為を始めた時に何かきっかけがなかったかよく考えてみましょう。時として、大きな変化でなくても、ほんの些細な思いもしないようなこと(部屋の模様替え、トイレの砂を変えた、餌を変えた、訪問客、家族同士の諍い。。。)がきっかけとなり、猫がマーキングを始めることもあります。その原因を探りあてとり除くことが早期問題解決につながります。

 

①マーキング行為

シッコを少量、垂直な面にひっかける。この時しっぽは垂直に高く上げ、ピクピク震わせる(尿スプレー)

原因:

家の猫同士の険悪な関係(不安縄張り意識など)。

よそ者の猫が最近(窓の外などに)みかけられる。

繁殖期のホルモンの影響

環境の変化(引越し、新しい猫、他の動物、新しい住居人など)によるストレス

不十分なトイレ事情

対処法:

雄の場合はできれば去勢する。

猫がマーキング行為の体勢を示したら(手をたたいて音を出すなどして)気をそらす。

 

猫がマーキング行為をしても叱らない。マーキングされた場所は、猫を部屋から出してからきれいに無臭の中性洗剤や酵素入り洗剤で拭き臭いを消し、最後にアルコールで拭き取る。この時、完全に乾いていることを確かめる。マーキング防止のために柑橘系の匂いをつけたり、アルミホイルを敷く。シッコされたくない部屋(寝室)などには、はじめから猫を入れない。されては困る家具(ソファー、ベットなど)には、プラスチックのカバーなどかぶせる。

トイレ事情の改善。

飼育環境の改善。

Feliway(フェリウェイ)の使用。

猫同士の相性が悪い場合は、攻撃行動の対処法へ。


         
       ②トイレ以外の場所で排泄
(オシッコ、ウンチ)すること。


原因:

この行動には、泌尿器系の病気、内分泌系の病気、関節の衰えにいたるまでさまざまな病気やけがが原因の場合もあります。獣医さんに病気やけがの有無をチェックしてもらいましょう。

トイレへの嫌悪感。例えば、以前膀胱炎などでシッコが出なくてその時の痛みとトイレが結びついて猫がトイレを嫌う。

不十分な社会化不十分な学習(トイレ以外の場所で排泄することを学んだ)。

不十分なトイレ事情       猫の数に対して、トイレは充分か?(トイレの数=猫の数+1) 大きさ、設置の場所、素材、におい、清潔度などチェックしてみる。

マーキング行為

環境の変化(引越し、新しい猫、他の動物、新しい住居人など)によるストレス

家にいる他の猫または何かに怯える(不安感恐れ)。

猫の種特有。例えば、ペルシャ猫は、トイレ以外の場所での排泄行動を見せることが比較的多い。

まれに、飼い主の注意をひこうとする要求行動の症状。

高年齢に伴う症状。



対処法:

トイレ事情の改善。猫が落ち着いて用を足せる環境を整える。設置場所は餌場の近く、寝場所の近く、人のよく通る通路などは避ける。トイレは、十分な大きさで、ふたのない方が良い。複数の猫を飼っている場合は、複数のトイレを設ける。

トイレの数=猫の数+1!

トイレの素材、砂の材料などは、猫により好みも違うのでいろいろ試してみる。

 

トイレの排泄物は、毎日まめに取り、できれば週に一度トイレの砂を全部取替える。その際、トイレはお湯だけで洗い、砂を取り替える時に今まで使用してた臭いのついた砂も少し混ぜる。

 

猫がトイレ以外で排泄しても叱らない。排泄した場所は猫を部屋から出した後(猫が飼い主が自分にかまってくれていると思い込む場合もあるので)、きれいに無臭の中性洗剤などで拭き臭いを消し、最後にアルコールで拭き取り完全に乾かす。そこにトイレを設置するというのも一案。又は餌場や寝場所に変えてしまうのも一案。なぜなら、猫が餌場や寝場所に排泄することはほとんどない。

 

バスマットやタオルなど柔らかい所で排尿することを覚えてしまった猫には、まず、それらのものを全て猫の手の届かない所にしまう。そして、トイレに古いタオルなど敷き、少しずつその上にトイレの砂を足して、トイレで排尿できるよう訓練する。

飼育環境の改善。

Feliway(フェリウェイ)の使用。

補足

どの猫が尿スプレー、または、不適切な排泄行動の犯人であるか、犯行現場を目撃できない場合は判別する必要があります。悪そうな顔をしている猫が尿スプレーをしているとは限りません。判別するには次のような方法があります。

1.住宅事情が許すなら、猫を一匹ずつ違う部屋に隔離(それぞれトイレ・餌場を用意)し判別。

2.Fluorescein(フルオレセイン)とよばれる蛍光色素の一種を疑わしい猫に夜飲ませる。次の日の尿(尿スプレー)が約24時間UVランプを当てると光る(獣医に相談してください)ことにより判別。

3.ビデオの設置。

マーキング行為

猫は雄・雌にかかわらず、自分の臭いをいろいろな所に付ける(マーキング行為)習性があります。これは、個々の認識、猫同士のコミュニケーションを計る大切な役割を果たしています。自分の臭いをいろいろな場所に付けることにより猫は安心します。

特に、肛門周囲の分泌腺、の周囲の皮脂腺、手足の裏の汗腺から特有の臭いの出る物質を分泌します。それが上顎と鼻腔の間にあるヤコブソン器官を通して脳に感知されます。だから、猫の尿スプレー行為や、顔を何かにすりすりしている行為、手のひらをこすり付ける行為(爪とぎの動作)は、全てマーキング行為であり猫のにとってはごく普通の行為なのです。家にいる飼い猫の数が多ければ多いほど、このマーキング行為は増える傾向にあります。なぜなら、他の猫が付けた臭いの上に新たに自分の臭いを付ける習性があるからです。猫を多頭飼育している飼い主さんにとっては、たいへん頭を悩ます問題です。

 

Feliway(フェリウェイ)

Feliwayは、猫の頬から分泌される天然のフェロモン(F 3成分)を合成的に作ったもので、猫を安心させ、落ち着ちつかせる効果があります。コンセントに差しこむ拡散器とスプレイ状リキッドがあり、特にマーキング行為の軽減や新しい環境でのストレス軽減によい効果があると報告されています。 しかしながら、効果については賛否両論です。スプレイ状リキッドは、必ずマーキング行為の後をきれいに拭き、最後にアルコールで拭き取った後、アルコールが完全に蒸発してからスプレイします。使用法を間違えると、マーキング行為が悪化することもあるので注意してください。一日に2~3度マーキング防止のためにもスプレイします。複数の猫を飼っている場合は、マーキング行為をする部屋に拡散器を取り付けます。70㎡以内の行動範囲で効果は約4週間持続します。

コットンなどで軽く猫の頬のあたりをこすり、それをマーキング行為をする部屋、壁などにこすりつけるFeliway同様の効果が得られます。試してみて下さい。


 2012年現在取り扱っているお店はごくわずかかもしれません。
 ネットでは手に入りやすいみたいです。